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ETFを使ったグローバルマクロ戦略

債券利回りとPERから株式の適正リターンを想定する方法

さきほどの記事で、CAPEの絶対値がもっとも単純かつ絶対的な自分の投資法のルールであることを書いた。
今年からもそのおおもとの方針はかわらない。
ただ、前から手を出したかったこととして、今年からは各国の債券利回りも利用した相対的な株式の
「割高」「割安」の判断も補助的に使っていきたい。

なぜそんなことを思ったのか。
債券利回りがとても高い国は、債券が株式の期待リターンと競合するほどの利回りをもつ。
その中で、株式の名目の現地通貨建てリターンというのはどこまで意味をもつのか。

たとえばロシアがPER5のとき、ロシアの益回り20%というのは、やはりロシアルーブルを軸にした話なのだ。
なぜかというと、ロシアのすべての利益、配当、株価、債券利回りも、ロシアルーブルで計算されているものなのだから
やはりPEもロシアルーブルで考えるべきだ。
とすると。。。ロシアルーブルでのリターンというのは
われわれ国外投資家はやはりインフレをあまりしない基軸通貨のドルや円でどうなるか、考慮しなくてはならない。
だとすればCAPEの絶対値での評価にどこまで信頼が寄せられるか。
そんな思いがこの測定を自分の中である程度整理しようと思った動機だ。


現地通貨ベースのリスクプレミアムという概念
まず最初に現地通貨ベースのリスクプレミアムという概念を考える。
リスクプレミアムとは無リスク資産に対して上乗せられる利回りだ。
標準偏差の代償として投資家はこれを得る。
例を出そう。
トルコの債券利回り
まあ無リスク資産の債券は人によってあれを使うこれを使うとあるがここでは1年ものを使うとする。
トルコの1年債券利回りは13.3%だ。
とんでもない高利回り債券だ。
これを使って証券会社などがよく詐欺まがいの宣伝をしているが賢明なる投資家ならからくりはよくわかっているはずだ。

ここで少し話がそれる。
金利平価説という概念がある。
各国金利は為替のパワーバランス、インフレ率によってすでに調整されているので、債券利回りでどこかの国が有利のはずがないという概念だ。
金利平価説

はやいはなしが、日本がほぼ0金利の中で、米国10年債券が3%金利に迫ってきた。
ドルを買って米債券を買えば毎年3%ずつ日本債券を買ったものに対してリターンで勝つ。
そんなことはありえないので(すでに力関係で金利は投資家たちによって決められたものなので)
これは円が毎年3%ドルに対してあがっていくから、債券利回りが3%高いに違いないという考え方だ。
まあ一定の説得力があるようにもみえるし、そうじゃないかもしれない。

さて、この金利平価説を使う。
つまりこのトルコの1年債券に13.3%もの現地通貨建て利回りがつくのは、トルコ通貨がある基準に対して年間13.3%棄損しているだけであるという話だ。
たとえばトルコ1年債券13%、米国1年債券2%なら、米国ドルはある基準に対して2%ずつ価値が減損しているので、トルコ通貨は米国通貨に対して年11%ずつ価値が減っている。
こんな感じのイメージで自分は金利平価説をとらえている。

話をもどそう。
次に株式の現地通貨建てリターンだが、これはPERかCAPEの益回りを使う。
ここではトルコ株式のPERから益回りを使おう。

各国バリュエーション表

さてトルコのPERは10.3だ。
ということは年間益回りは9.7%になる。
やはりこの益回りは現地通貨なのだ。
なぜなら利益も株価もすべて現地通貨なのだから、すべてを現地通貨で考慮すべきだ。
ということで株式益回り9.7%、1年債券利回り13.3%となる。
ということはリスクプレミアムは9.7-13.3=-3.7
なんということだ。
割安にみえていたトルコの株式はリスクプレミアムがマイナスになってしまった。
もしトルコ通貨が毎年ある基準に対して(金利0の国、そうたとえば日本なんかがそうだ)
13%ずつ割安になってみろ。
現地通貨建てで年9.7%の株式リターンなんてまったく下らないとわかる。

最後にこの式を使おう。

外国株式の円ベース期待リターン


円ベースの期待リターン = 円のインフレ率+円の実質短期金利+現地通貨ベースのリスクプレミアム


まあ自分はこのへん詳しくないが、インフレ率+円の実質金利=円の名目金利ってことだろう
たぶん円の実質金利は名目金利からインフレ差し引き後に出した債券のプレミアムってところだ

日本の債券利回り

1年債券利回りは-0.15くらい。(これは名目だ)
なのでトルコ株式の円での期待リターンは
円ベースの期待リターン = (円のインフレ率+円の実質短期金利)+(現地通貨ベースのリスクプレミアム)
=(-0.15)+(-3.7)=-3.9%

まったく投資したくない資産になってしまった。


この方法は一つは、トルコという国に投資しようとしたときに、高金利がどうリターンに影響するか考え始めたときに、ひとつの目安を計算できないかと考えたこと。
もう一つはピクテの萩野社長が「現地通貨建てでリターンがよくても新興国の場合は為替のせいで負ける状況がある」とよく言っていたこと。
そしてFEDモデルを見て、どの国も現地通貨建てでFEDモデルが成り立っているはずだと考えたことが元になっている。

CAPEの絶対値で見る評価だけでなく、各国為替や金利を取り入れた相対的な株式のリターンモデル、割安モデルを単純化したルールを自分の中でつくりたかった。

ちなみに最後に、靴磨きおじさんの好きなロシア株式を評価してみよう。
ロシアPERは前述のページで8.1だ。
ということは現地通貨建て株式益回りは12.3%
それに対してロシア債券1年利回りは6.38だ。
ロシア債券利回り

円ベースの期待リターン = (円のインフレ率+円の実質短期金利)+(現地通貨ベースのリスクプレミアム)
=(-0.15)+(12.3-6.4)=5.75%
ロシアの円ベース名目期待リターンは5.7%
十分リーズナブルで良い買い物といえる。


今年はCAPEの絶対値評価にプラスして、割安国スクリーニングではこの相対的なリターン想定法を補助的に使用予定。
前から取り入れたいと考えていた概念だ。
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  1. グローバルマクロ戦略用に自分で更新するETFのPER推移など
  2. | コメント:0
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