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ETFを使った株式投資

『魔法の公式』戦略がキャピタルゲイン税と売買手数料のためにS&P500を超過する必要があるリターン量を検討する

『魔法の公式』戦略は、市場平均(ここではS&P500を仮想敵にします)を長期的に上回らなくてはなりません。
そうでなかったら、最初からインデックスファンドを購入してバイアンドホールドをしたほうが良かった、ということになってしまいます。
具体的には、グリーンブラットも、2~3年間連続で、市場平均を下回るようなことは容易に起こり得るので5年程度戦略を続けて、有用性を検証してほしい、と言っていることからも、5年程度はリターンを検証するのがフェアでしょう。
するとこのバリュエーション戦略の是非が判明するのは2022年の春ごろになります。
なんとも気の遠くなる話ですが、がんばって測定を続けていきたいところ。
万に一つ5年間もの間、飽きずにブログを続けていたら、みなさんにも結果をお見せできるかもしれません。
実際投資は4年以上、飽きないで続けているので、今後5年間も続ける可能性のほうが高いですが、ブログのほうはなんとも…


ところで、このグリーンブラット式の『魔法の公式』戦略、またの名を『低PER高ROAを1年間ホールド戦略』、簡単にいうと、ダウの犬戦略はダウ30種の中の高配当10銘柄を、1年間ホールドして、毎年入替検討をするものですが、それに酷似しています。
上場3000企業程度の中から、低PER高ROAの銘柄を20もしくは30銘柄スクリーニングして、それを1年間ホールド、毎年入替検討をするという、それだけの戦略です。
どうしてこれが高リターンに結び付くのかというと、これはまあ色々考え方があるので本を読んでいただけたらと思います。

株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」
https://www.amazon.co.jp/dp/B00R8RY4QE/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

ちなみにキンドルなら1296円、しかしキンドルアンリミテッドに入っていればタダで読めます!
ぼくはアンリミテッドで読んで、気に入って紙の本を買いましたが、絶版で中古は2000円~3000円しました。
しかし今みると中古はどれも8000円以上と、変な値段がついており、キンドルで買ってPDFにして打ち出すなりしたほうがよさそうです…

さて、この『魔法の公式』戦略ですが、グリーンブラット本人は、3000社以上の全米市場で実行すれば、市場平均プラス20%のリターンが出る、と異常な検証結果を書いており(本当に市場平均プラス20%のリターンが出たらバフェットの成績超えちゃうのですが)大型株だけに絞ってスクリーニングしても市場平均プラス10%のリターンが出ると言っています。
これだけだと変なおっさんの妄言か?で終わる話なのですが、実はこのグリーンブラット氏自体、20年間、年平均40%リターンを出した現役の中では伝説的なバリュー投資家の一人で、いろいろなバリュー投資の本を読んでいても、他の著者から彼の名前はちょくちょく出てくる人なのです。
このグリーンブラット氏が自分で実際に投資をする際に主軸にしている戦略がこの『魔法の公式』戦略なのです。

東大卒医師が教える科学的「株」投資術という本の中で、作者のKAPPAさんも触れており(この本は題名がキワモノ感ありますが、非常に定量的、客観的で良い本です)、各国の上場市場を低PER高ROAで上位10%をスクリーニングしたところ、米国で4.1%、英国で6.2%、英国以外のヨーロッパで7.7%、日本で7.2%、市場平均をアウトパフォームしたという非常に優秀な数字が示されています。
なぜグリーンブラット氏のデータでは10~20%もアウトパフォームしたかというと、彼の本では3000社中の30社、つまり指標の上位1%という非常に上位に限って投資していたからだと思われます。

さて、この戦略は非常に優秀だと思いますが、われわれは死と税収からはけして逃れられない現世に生きていますので、キャピタルゲイン税の毀損および株式売買手数料を無視したリターンは絵に描いた餅でしょう。
未来のリターンは予測しかできませんが、この戦略をとることで、S&P500のバイアンドホールド戦略に対してどのくらい余分に手数料および税金を払っているかわからないと、有効かどうかも判断できません。


手数料に着目することも必要だ。
資産を乗り換える時には、売買手数料を考慮しても尚乗り換える価値があるのかを計算する必要がある。
       ---レイ・ダリオ


と、尊敬すべきレイ・ダリオ氏も個人投資家へのアドバイスとして言及しているわけです。

そこでこのような検証モデルを作ります。
①ある一人の投資家がS&P500を2017年春から毎月1万円ずつ、30年間ホールドし続ける(30歳から老後の60歳まで)
②S&P500の今後30年の幾何平均リターンは過去50年を参照に年間で、配当3%、インフレ3%、キャピタルゲイン3.5%で、トータルリターン名目9.5%とし、そのうちキャピタルゲインリターンは名目で年間6.5%とする。
③バイアンドホールド戦略なので、売買手数料はタダ同然なので略して0円、年間信託報酬もタダ同然なので略して0円。
この条件で30年間、配当再投資をしないで積立て続け、最後にキャピタルゲイン税20%を30年後に一括で払ったモデルで考えます。
このモデルの投資家は非常に優秀です。
長期投資家の鏡でしょう。
実際ここまで税金支払いを遅らせてストイックに積み立てる投資家はそういないでしょうから、S&P500側のバイアンドホールド戦略がベストを尽くした場合のモデルケースです。

このサイトは積立複利計算に非常にすぐれたサイトです。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1254841870

年利率6.5%(名目キャピタルリターンのみ)
積立30年
毎月積立額1万円
積立前元本0円
年複利
課税方式非課税

この条件で計算します。
すると30年後には
投資元本 360万円
利息 713万円
トータル 1073万円
と出ます。
おそるべき複利の力ですね。
さて、30年後に一括で老後資金として引き出すことを仮定して、713万円のうち20%はお国に上納しなければならないので
実際は360+713*0.8=元本360+利息570=930万円で、トータル930万円です。

さて、ここで、毎年銘柄を入れ替えた場合の戦略について計算しなければなりません。
簡易化のために、配当はS&P500と『魔法の公式』戦略で同じ数値とします。
(じっさい毎年キャピタルゲイン税を払った場合、おおよそどのくらい、多めにリターンが必要かあたりをつける目的の計算なので、ここは簡易化してしまいましょう)
毎月1万円積立を30年間継続し、しかも毎年名目キャピタルゲインに対して20%の支払いをした場合、いくらのリターンをあげれば、トータル930万円に届くのでしょうか。

年利率7.2%(名目キャピタルリターンのみ)
積立30年
毎月積立額1万円
積立前元本0円
年複利
課税方式 複利毎課税20%

この計算で、トータルリターンが938万円となり、930万円を上回りました。
そのリターン差、0.7%です。

なぜインカムゲインについて検証しないのかというと、インカムゲインではS&P500と魔法の公式戦略で、同じように税金を払って、仮に同じ配当利回りだとすると収益差が生まれないためです。

しかし余分に払うお金はこれだけではありません。
小さい資金(具体的にはマネックス証券で1銘柄4444ドル、最低必要銘柄数20なので、88880ドル、つまり約1000万円以下)の場合、マネックス証券では年間1度の売却に0.45%、購入に0.45%、合計0.9%の売買手数料が必要です。
ただしこれは、1年に1回かならず全銘柄入れ替える場合であり、たとえば一つの銘柄のホールド長さを2年平均にすると、ここでの必要超過リターンは0.45%でいいことになります。


まとめ
・魔法の公式戦略で必要な市場平均(S&P500)に対する超過リターンは以下のようになる
・S&P500が今後30年で幾何平均名目リターン6.5%+配当3%(トータル幾何平均名目リターン9.5%)で、毎月一定額を30年間バイアンドホールドした場合で仮定する
・魔法の戦略に要求される最低リターンは幾何平均名目リターンで売買手数料0.9%+キャピタルゲイン7.2%+配当3%となり、合計トータル幾何平均名目リターン11.1%、つまりS&P500をトータルで年1.6%超過リターンすることが要求される。
・しかしこの1.6%は、キャピタルゲイン税支払い繰延不可分0.7%+年間売買手数料0.9%であり、とくに年間売買手数料は1銘柄1年保持の場合の必要手数料なので、1銘柄平均2年持てば0.45%となり、容易に圧縮可能と言える。
・この売買手数料はマネックス証券で20銘柄への分散投資で最低22220ドルの資金を必要とし、88880ドルを超える規模で投資をする場合は売買手数料はこれより低くなっていく。



実際はすべての銘柄を1年1回売買するとは思えないので(なぜなら低PER高ROAで銘柄が放置されれば次の年も持ち越しだからです)仮に1銘柄の平均保有年数を2年程度と仮定すると、キャピタル税分必要超過リターン0.7、売買手数料分0.45で、合計1.15%程度の超過リターンが要求されるかもしれません。
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