靴磨きおじさんの米国株・インデックス投資

リタイア計算ごっこ① 60/40ポートフォリオと4%ルールを使って遊ぼう

JPモルガンから我々がいただいた貴重な今後10~15年の予測リターンシートを使えば、だいたいどのくらいの資産でどのくらいの取り崩しなら資産を減らさずにリタイア生活ができるかアタリをつけることができます。

57資産の期待リターン長期予想を発表
https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/topics/2017/pdf/pressrelease_20170220.pdf

このシミュレーションはなかなか好きなのでたまにやって遊びます。(おもに仕事がつらいときの現実逃避など)
簡単に書くと
幾何平均による期待リターン-インフレ率-キャピタルゲイン税-配当税=年間生活費(生活費+年金支払い+保険支払い)
これが成立すればリタイアしてもいいということになりますね。
ぼくの簡易計算ですと、株式:債券およびゴールド=6:4の場合、手取りが資産の3%になる程度に毎年切り崩せば、資産が減らないと思われます。
つまり、6000万円ためて、6:4ポートフォリオにて資産運用し、初年度は180万円の手取り(この180万円から保険と年金も支払ってください)になるよう切り崩す、2年目からも常に全資産の3%が手取りになるように切り崩す。
これで永久機関完成と思っています。
12000万もっている人なら毎年手取り360万円、18000万円持っている人なら毎年手取り540万円ですね。
2年目はインフレが3%なら180万円+5.4万円引き出せるので心配しないでください。
インフレは計算に盛り込んであります。
(リタイア計算ごっこ②で具体的な計算方法書こうかな)

さて、面白くて大好きな資産運用ブログにMMさんの「Savvyに生きる」というところがあるのですが
最近で面白かったのは「4%ルール」回と「60/40ポートフォリオ」回です。
たしかにこの二つは米国の本やサイト、人の会話などで何度か出てきているのを目にします。

米国早期リタイア界の常識「4%ルール」
http://savvy-life-savvy-style.com/4-rule-for-retirement/

アメリカにおける投資戦略の常識「60/40」ってどういう手法?
http://savvy-life-savvy-style.com/60-40-stock-bond/

おすすめの記事なのでぜひ両方読んでみると視野が広がると思います。
4%ルールについては、今後株式・債券ともに過去よりインフレ差し引き後リターンが減るのではないかと予測されており(株価の慢性的な高PERと債券の低利回りからそうなってもおかしくないですね)自分で電卓をたたいてみたところ、手取り3%程度に取り崩しを下げるのが、今後半永久的に資産を維持する出口戦略のキモになるかもと思っています。

60/40ポートフォリオについては、債券リターンが下がったことで古い戦略と言われがちで株式比率を上げることに躍起な風潮がありますが、各国の年金運用をみてもわかるように、ぼくは非常に手堅く、いまだ有効な戦略と思います。
しかし日本国債の期待リターンが現在インフレ予想を下回っているので、米国債、ゴールド等に分散して、インフレに追従できるくらいの防御側陣営(ポートフォリオの40%のほう)を構築するのがコツかなあと思います。
今現在の僕の好みでしたら、僕が60才だったら、日本債券および現金:米国債券:ゴールド=15:15:10が好みですね。
それからちょっと面白いのが、バンガードの過去リターンの分析だと、株式の期待リターンと債券のそれを荷重でかけあわせたもの(計算上リターン)より、実際の過去リターンが少し高くなるところですよね。
リバランス効果なのでしょうか?

Vanguard portfolio allocation models
https://personal.vanguard.com/us/insights/saving-investing/model-portfolio-allocations
株式名目リターン10.1%
債券名目リターン5.4%の過去データです
当然われわれは6:4ポートフォリオの場合は
0.6 x 10.1 + 0.4 x 5.4 = 8.3 がリターンだろうなと思います。
しかし意外なことに過去リターンは実際8.7%なのです。
また、これを見ると思いのほか、6:4ポートフォリオが株100%ポートフォリオに比べて、1.4%しかリターンで負けていないという事実がわかります。
50%の株価暴落のときに、そのまま50%下落するポートフォリオに比べて、30%しか下落しないポートフォリオが年リターンで1.4%しか劣後しないのは、リスクとリターンを見比べたときに、十分「悪くない」取引かと思います。


さて、MMさんの記事において、8.77%とリターンを仮定して、米国の過去インフレ率3.2%として4%ルールでこの60/40ポートフォリオを引き出した場合、26年で残金が0になるとのエクセル計算がありましたね。
これはおそらくMMさんが計算ミスしているかと思います。
というのも、8.77%のリターンでインフレ率3.2%なのでインフレ差し引き後リターンは5.57%ですね。
それに対して毎年の引き出し額が資産の4%だからむしろインフレ差し引き後の資産価値は増えることになると思います。
これは1年目の引き出し額を総資産の4%にして、次の年から前年引き出し額に1.032を毎年かけて引き落としてもそうなると思いますし
単純に総資産額に毎年1.0557をかけて、そこから4%を引き落としても、資産は増え続けるはずです。
この条件だと
名目リターン-インフレ率-引き出し額xインフレ率>0ということになるかと思います。

ただし、幾何平均は幾何平均ですので、実際の値動きに沿った場合、幾何平均インフレ差し引き後リターンが5.57の時に、毎年全資産の4%を引き出す条件で、資産が永遠に増えるかどうかはよくわかりません。
感覚的にはおそらく大丈夫だと思うのですが、そのあたりの計算方法をしらないので・・・


追記
ちょっと気になったので、MMさんの式をエクセルに打ち込んでみました
年次 年初資産 引き出し額(初年度が年初資産の4%でそれ以降毎年3.2%インフレさせる) 年末資産(年初資産-引き出し額) 年末資産に名目リターン(8.77)をかける 初年度の4000万円と同等の価値をもつ名目額(3.2%インフレ)
1 40,000,000 1,600,000 38,400,000 41,767,680 40,000,000
2 41,767,680 1,651,200 40,116,480 43,634,695 41,280,000
3 43,634,695 1,704,038 41,930,657 45,607,976 42,600,960
4 45,607,976 1,758,568 43,849,408 47,695,001 43,964,191
5 47,695,001 1,814,842 45,880,159 49,903,849 45,371,045
6 49,903,849 1,872,917 48,030,932 52,243,245 46,822,918
7 52,243,245 1,932,850 50,310,395 54,722,617 48,321,252
8 54,722,617 1,994,701 52,727,915 57,352,154 49,867,532
9 57,352,154 2,058,532 55,293,622 60,142,873 51,463,293
10 60,142,873 2,124,405 58,018,468 63,106,687 53,110,118
11 63,106,687 2,192,386 60,914,302 66,256,486 54,809,642
12 66,256,486 2,262,542 63,993,944 69,606,213 56,563,550
13 69,606,213 2,334,943 67,271,270 73,170,960 58,373,584
14 73,170,960 2,409,662 70,761,298 76,967,064 60,241,539
15 76,967,064 2,486,771 74,480,294 81,012,215 62,169,268
16 81,012,215 2,566,347 78,445,868 85,325,571 64,158,685
17 85,325,571 2,648,470 82,677,100 89,927,882 66,211,762
18 89,927,882 2,733,222 87,194,660 94,841,632 68,330,539
19 94,841,632 2,820,685 92,020,947 100,091,184 70,517,116
20 100,091,184 2,910,947 97,180,238 105,702,945 72,773,664
21 105,702,945 3,004,097 102,698,848 111,705,537 75,102,421
22 111,705,537 3,100,228 108,605,309 118,129,994 77,505,698
23 118,129,994 3,199,435 114,930,559 125,009,969 79,985,881
24 125,009,969 3,301,817 121,708,152 132,381,957 82,545,429
25 132,381,957 3,407,475 128,974,482 140,285,544 85,186,883
26 140,285,544 3,516,515 136,769,029 148,763,673 87,912,863
27 148,763,673 3,629,043 145,134,630 157,862,937 90,726,075



過去のアメリカで資産を株式:債券=6:4で維持して
初年度に全資産の4%を引き出し、次の年からは前年度の1.032倍の額を引き出した場合どうなったか。

なんということでしょう。
27年間の時を経てむしろ資産は増えました。
毎年インフレにあわせて引き出し額が増えるので、27年目の引き出しは362万円にも達します。
それだけじゃありません。
27年後、初年度の4000万円と同等の価値をもつ現金は9072万円です。すごい。
しかし心配いりませんね。
あなたの資産はすでに15786万円に達しているのです。

この計算でぼくがいいたいのは、「複利のパワーってすげー」よりむしろ、インフレを考慮しないと運用計算は全く無意味という話です。
ぼくの文章は「インフレ差し引き後で」という言葉や、「現在紙幣価値で」とか「名目リターンで」とかが多いかと思いますが、インフレ差し引き後と名目リターンは全くぜんぜん別なのでこだわるのです。
税金差し引き後しかり、売買手数料差し引き後しかり、幾何平均算術平均しかりです。

それから、インフレに対する株式と債券のリターンアドバンテージは、今後はこれより低くなる気がしますので、毎年4%引き出すのはやや危険かと思います。
おそらく3.5%程度の引き出し(手取り3%くらい)が今後の60:40ポートフォリオのちょうどいい資産維持するリターンの切り崩し水準じゃないかなと思っています。
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  1. アーリーリタイア
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バフェットとマンガーはアマゾンやグーグルの投資機会を逃し失敗「した」と言いましたが

バフェット・マンガーマニアの後追い投資家は日本にも多いですが
それならそれで彼らの言葉の微妙なニュアンスに気を付けたほうがいいと思います

「人に質問をするなどいろんな方法で自分の幅を広げることができたはずだ。(アマゾンなどへの投資機会を逃し)失敗した」
「我々はグーグルを理解できるほど賢いはずだった」

今からの話ではなく過去の話をしています
なぜ過去の話をしているのかチャートを見て理解してから個人投資家は行動すべきかと思います





最近仕事やばくて投資ブログどころではないのですが、最低限のポートフォリオ管理だけは毎月やっていきたいところ・・・
  1. 株式投資に関する疑問
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シーゲル派の人々が配当の課税を考慮したらVOOにアンダーパフォームするのではと騒いでいるけど当たり前の検討事項を今までちゃんと考えていなかったのか…

シーゲル派の人達が、高配当銘柄は配当課税を考慮したら高配当投資は市場平均に劣後するのではないかと指摘を受けて狼狽していますが、ぼくはびっくりです。

まず最初に、疑問や反対意見を書こうとすると、どうしても他の人を傷つけるような内容になってしまうこともあるので、そうしないように気を付けますが、あくまでも、いち市民投資趣味の素人おじさんの意見として以下をお読みください。

投資をする時に、インフレ率、売買手数料、年間手数料、配当課税、キャピタルゲイン課税を、簡単な算術で良いのでモデルにして比較するのは当たり前の準備と思います。
そこすら面倒でしたら思考停止型(悪い意味ではなく効率良いです)の信頼できるソースに勧められた世界分散投資の株式・債券に一定割合で資産を分散させればいいと思います。
でもある程度自分でクラスや銘柄を選んで投資をするなら、インフレ率、売買手数料、年間手数料、配当課税、キャピタルゲイン課税、これらを考えずに投資をしても、絵に描いた餅、意味がないでしょう・・・

具体的には、たとえば「米国株に投資すればリターン7%、グラフにするとこうで~○年後に○万円!」みたいなブログを見ても、税金もインフレも維持費も無視してるの見ると・・・おいおいと思っていまいします。

難しいモデルでより正確に調べる方法もあるかと思います。
でもバフェットもいうように基礎の算術でも投資の大事な部分は調べられます。
具体例でいいます。
今手元に「株式投資の未来」がないので、仮に過去30年のS&P500の幾何平均名目リターン11%
高配当株(上位100社)の幾何平均名目リターン13%とします。
(実際の数字は知らないですよ・・・高配当戦略をやる人は自分で調べてください)
配当平均をS&P500は3%、高配当戦略を6%とします。
分解するとS&P500はキャピタルゲイン8+配当3
高配当株はキャピタルゲイン7+配当6

前に自分の戦略で触れましたが簡易的に毎年銘柄を入れ替えることで、30年間ホールドして支払うのに比べてキャピタルゲイン税は余分に0.7パーセントかかると僕は触れました。
この場合、毎年銘柄入れ替えするときのキャピタルゲインを年7.2%で計算しています。
7.2x0.2=1.4%なので
逆に言うと30年間ホールドするのであれば年間当たりキャピタルゲイン税は0.7%、毎年銘柄入れ替えするのであれば年間キャピタルゲイン税は年間1.4%ですね。
http://kutsumigaki.blog.fc2.com/blog-category-17.html

配当課税30%で、銘柄の入れ替えを毎年20銘柄もっているうちの25%、5銘柄だけするとします。
すると名目リターンが7+6=11%
ここから引かれるのが配当税0.3x6=1.8%
キャピタルゲイン税(年25%の銘柄入れ替え)より7*0.75*0.7+7*0.25*1.4
売買手数料 (マネックス)100%x0.90x0.25
維持手数料は個別株でかかりません
これで本当の年間名目リターンの簡易的な計算値が出ます
S&P500にしても同じようにやればいいです

この結果で高配当戦略とS&P500どちらがリターン高くなるかは知りませんよ
ぼくはこの戦略を使っていないので・・・自分で計算しましょう(その際、モデルの名目リターンや配当は信用できるソースを使いましょう)
それくらいはさすがに最低限やるべきあたりまえのことだと思います・・・
ちなみに僕の予想だとシーゲル教授の過去データ使うと高配当戦略は各種経費差し引き後で市場平均に勝つと思いますけどね。
ぼくはこの戦略をとっていないのでわざわざソース探して計算しませんが。

すごく疑問なのは、多くの人が自分で電卓をたたかずに、「この人がこう書いたからこうなんだ!高配当はすごい!」「この人がこう書いたから税金で高配当戦略は負けるんだ!やめよう!」と右往左往していることです。
じぶんでリターン調べて電卓たたけばすむことなのに、なんで・・・と思ってしまいます。
  1. 株式投資に関する疑問
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『魔法の公式』戦略の銘柄入れ替え作戦

『魔法の公式』戦略とは上場企業を低PER、高ROAで単純ランキング化し、その上位企業20~30社を1年間ホールドしたのちにランキングを再度行い銘柄入れ替えを行う単純な戦略です。

さて、米国サイトには考案者のものも含めて、魔法の公式戦略の自動銘柄スクリーニングサイトが多数存在します。
なにも考えずにこれをフォローして毎年銘柄入れ替えを行うのも一つの(というか最も有力な)手段です。
しかし靴磨きおじさんは、自分が何をしているのか理解しながら銘柄選定をしたりスクリーニングをするのを好むので、基本はYahoo finance screenerを使って自分で銘柄選びするのが好きです。
また、とくに作者による公式のスクリーニング銘柄は、ある程度アービトラージが進み購入時に高PER化している恐れもあります。
ためしに自分でYahoo finance screenerを使ってスクリーニングしてみたところ、作者のスクリーニングと被る銘柄は半分程度であり、作者にピックされなかった銘柄は低PER高ROAでありながらネット上で知られてアービトラージされない可能性が高く、いいことです。
また、そもそも自動スクリーニングサイトではなにがどう起こってるかわからないし、そのサイトが更新をやめたり閉鎖したり間違って銘柄選出したり、何が起きてもこちらにはわからない点が好みではありません。
ためにし自分で銘柄ピックアップをしたところ作業時間は3時間程度でした。(選定対象は全米の上場企業4491社)
近いうちにヤフーファイナンスを使用した場合の銘柄ピック方法も備忘録代わりに載せる予定。
魔法の公式の銘柄入れ替えメンテナンスは年に4回であり、極限まで時間を節約すれば年間12時間の銘柄メンテナンスで維持可能な戦略です。

さて、今回は銘柄入れ替え時の売却戦略について自分用のメモも兼ねて考えてみたいと思います。
もちろん毎期の『魔法の公式』戦略を自分でランキングとして書き出し、それに沿って(毎回20社にランクインしたもののみキープして他を売っていく)のもアリかと思います。
しかしさらに売却回数を減らす省エネ作戦も可能でしょう。

公式の作者グリーンブラット本人に言わせると『普通より優れた企業を普通より安く買う』この2点のみが魔法の公式の本質です。
これはグレアムとバフェットの戦略を極限までシンプル化した作戦なので、彼ら二人の考えもまた、流用可能です。
つまり、売却基準は

①普通より安い値段ではなくなったとき
②普通より優れた企業ではなくなったとき

この2つのどちらかを満たしたら売却すればいいということになります。

①は非常に簡単です。
つまり市場平均PERに達したときには売ればいいということになります。
逆に言うと、買うときは市場平均より安い値段で買う必要があります。
たとえば、現在のS&P500の実績PERをYahoo financeでみるとVOOで19.56です。
https://finance.yahoo.com/quote/VOO/holdings?p=VOO
全米平均が19.56なので、PERを割安基準に利用するバリュー投資家にとって、ここから何割で買うかをボーダーとします。
たとえば定価19.56なので割引率を20%とすると19.56x0.8=15.65となります。
この20%の割引の量を、グレアムやバフェット、グリーンブラット達はmargin of safetyと呼んでおり、投資の最重要項目の一つにあげています。
このmargin of safetyの役割は2つで、1つはこの銘柄がバリュー投資家の目論見通り、まともな(実力が市場平均以下ではない)銘柄であった場合、PERは値付けミスされているはずです。
すなわちミスターマーケットがそれに気付き、市場平均(ここでは19.56)まで銘柄の値段を押し上げれば、そのキャピタルゲインを得ます。
もう1つの役割は、じつはバリュー投資家側が値付けミスをしていた場合(株価が低く抑えられるなりの低価値の会社だった場合)、この市場平均より低い値付けがそれ以上の下落を抑えてくれます。つまりPER20の企業より、PER15の企業のほうが実績上値下がりしにくいのです。
よって、値付けをPERから見る場合、市場平均(現在は19.56)より何割がmargin of safetyをかけて買うのがバリュー投資の基本中の基本で、これはこの数十年変わっていない戦略です。
売却時とは、ミスターマーケットが株価を適性判断したとき、すなわちPER19.56まで上がったときとなります。
ちなみに現在PER0~20に収まる企業はyahoo financeのScreenerを使うと、1584社/全米4491社中になっており
平均かそれ以上安いPERの会社は全キャップの1/3程度ですね。(中央値と平均値のトリックです)

②についてはバフェットはROEを好んで使います。
グリーンブラットはROAを好んで使いますが、実質兄弟のような指数なのでほぼやっていることは同じです。
ROEとROAの違いはこうです。
ROEは、ある人Aさんが、ガムショップを開いたときに、自分の開業資金100万円を用意して、ガムショップを開いて年間20万円利益を得たのが20万円/100万円=ROE20%。
ROAは、ある人Aさんが、ガムショップを開いたときに、自分の開業資金100万円と銀行から借金200万円を用意して、ガムショップを開いて年間20万円利益を得たのが20万円/(100万円+200万円)=ROA6.7%。
つまり運転資金中の自腹のお金の比率(自己資本比率)が似たり寄ったりに企業の場合同士なら、ROEとROAは一緒に上下するので兄弟のようなものなのです。
しかし極端に大きい借金をもっていると違うのです。
たとえば自分では開業資金100万円しかもっておらず、銀行から1900万円借りて商売をして、年間20万円儲けるBさんはどうでしょうか。
ROEでは20/100=20%。
バフェットのいう「ROE15%以上は優良企業である」を満たしており、優良企業です。
しかしROAでみると20/(100+1900)=1%
2000万円も資金を使ってたった1%しか利益を出せないクソ商売と判明します。
これを指してバフェットは「ROEを参照する場合は借金が少ないか、固定経費がかからない会社かよく見なさい」とアドバイスしていますが、グリーンブラットは「ROEではなくROAを使いなさい」と考えているわけです。
ところがROEを参照した場合、ある企業は自己資本比率(借金の少なさ)が高く、ある企業は自己資本比率が低いので、結局数百社のアベレージとしてみれば、高ROE企業は高ROA企業であり、この二つのスクリーニング方法のリターンを比べるとはほぼ同じような結果を出します。(つまり低PER高ROA戦略と、低PER高ROE戦略の市場に対するアウトパフォームの量はほぼ一緒という研究結果があります)
このようなことからたとえば沢山の銘柄の集合体であるインデックス指数への投資では、高ROEはとくに事情を考慮しなくても高ROAと同じスクリーニング機能をはたすため、PBRとPERからある国のインデックスのROEを算出し、低PER高ROEの地域にオーバーウエイトする戦略は機能する可能性が非常に高いと靴磨きおじさんは予想しています
しかし、反面、たとえば新興国指数ではある年のPBRとその後5年間の年率リターンが、非常に強力な逆相関を持っているピクテ研究結果を見ており、高ROEは高PBRにつながることから、この2つのバリュー戦略は相反しているというジレンマもあります。
とはいえあなたやぼくがもし、銘柄を低PBRのみでスクリーニングしても、そうではなく低PER高ROE作戦でスクリーニングしても、どちらにしてもおそらく数年間後には市場をアウトパフォームするでしょう。

さて、話が脱線してしまいましたが・・・
ROAを基準とした売却基準の話です。
全米の20年間の平均ROEは12です(残念ながら日本の20年間の平均ROEは5です)
ROE12以上は1363社/全米4491社中の成績です。
同様に1300位程度の企業のROAを調べると
ROA5以上で1257社/全米4491社中の成績です。
米国の2003年の製造業の平均自己資本比率は39%と出ており
ROE12 x 0.39 = ROA4.7となるので、まあこの結果は妥当性があります。
つまり平均になってしまったら売り払うという戦略なら、ROA5以下で売ればい良いでしょう。

バフェットは「ROE15以上なら売る必要はない」と言っています。
この場合、米国平均自己資本比率40%を使うと
ROE15 x 0.40 = ROA6.0
これがバフェットの売却ラインです。
ROE15以上→1009社/全米4491社中
ROA6以上→975社/全米4491社中
であり、それなりの上位(上位20%企業)でないとバフェットはホールドしないということです。
また、師匠グレアムの指標も一緒に使うと、自己資本比率50%以上(グレアム)、ROE15以上(バフェット)となり
ROE15 x 0.5 = ROA7.5 より
ROA7.5くらいでないと、二人から同時にイイネ!はもらえないわけです。
いずれにしろこのあたりが売却のボーダーラインでしょう。

なぜこのように売却ラインを気にするのかというと、グリーンブラットの売却ラインが厳しめに設定されているためです。
上記の自分で設定した売却ラインを採用することで、年間期待リターンは押し下げることになります。
ただし売買手数料とキャピタルゲイン税もまた下がりますので一長一短です。
具体的にはもし1銘柄4000ドル以下の保有量で毎年すべての銘柄を入れ替えた場合、30年間VOOをホールドするのに比べて、年間で売買手数料0.9%、キャピタルゲイン税0.7%余分にかかります。
つまり1.6%市場をアウトパフォームする必要があります。
しかし売却基準をゆるめると、リターン期待値が下がりますが、この年間アウトパフォーム要求量の1.6%も下がるのです。
どっちがいいかは自己判断です。

さて、上記のような売却基準ですが、じっさい靴磨きおじさんの買った銘柄は指標的にはどのあたりに位置するのか。
市場平均PER19.5 米国平均ROA5程度
これに対して、靴磨きおじさんの持っている銘柄は実績PER平均12程度、ROA20程度です。
margin of safety は40%、つまり定価の40%引きです。
そして集めたお金に対する利益は一般企業の4倍です。
非常に割安で、資本から容易に利益を出す悪徳企業群(尋常じゃなく悪名高い)ばかりです。
グリーンブラットの戦略がいかにとがった銘柄ばかりを買い集めているかという話ですね。
  1. 『魔法の公式』戦略研究
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セミリタイアという生き方は『理論上は』とても効率が悪い

セミリタイアという生き方は『理論上は』つまり、算術上はとても効率の悪い生き方です。
ただし、この理論上というのは、人間の心理や体力面などは全く考慮していませんが。

セミリタイアを算術上、効率悪くしている原因は主に2点あります。

①時給が下がる
とくに日本という国は空白期間のないキャリアを待遇を決める際に非常に重視します。
いちど無職の期間ができると、その後に働きたいときに働いても、キャリアを継続的に続けた人に比べて時間当たりの収入が少なくなります。
つまり、たとえば生涯でサラリーによる収入を2億円と設定した人がいるとします。
この人は新卒で就職してそのまま2億円を稼ぎ終わるまで働き続け、それからリタイアするのが最も少ない労働時間で設定生涯給与を得る方法となります。
つまり時給2000円のキャリアを捨ててセミリタイアし、断続的に時給1000円のアルバイトで資金をトップアップするより、時給2000円+昇給をサラリーとして受けて、目標生涯給与に達するまで働くのが最も生涯労働時間の最小化を図れる方法です。

②同じ額面の投資額を投入する価値は時間の経過とともに毀損していく
算術上は投資というのは幾何平均で見た年間期待リターンによる指数関数でありそれ以外の何物でもないといえます。
つまり年間幾何平均リターンがインフレ差し引き後7%だとすると
(この7パーセントはオショネシーの言葉を借りれば7%のマグネット(原点回帰)です)
X年間投資をする人間の期待リターンというのは(1.07)^Xであり、Xが長いほどいいのです。
同じ投資額を考慮したときに遅い時間に投資したほうが早い時間に投資するより有利ということは投資の計算上ではありえません。
ありえるとしたらその世界の投資の期待リターンはマイナスです。
ですので、同じ投資額を投入する場合、絶対にはやいほど有利であり、この原則は覆りません。
同じ金額をサラリーとして得てそれを投資に投入するなら絶対にはやいほうが理論上有利ということです。
具体的な話をしましょう。
オショネシーやシーゲルの指摘通りに今後も歴史的な株式のリターン実績を世界がフォローしてインフレ差し引き後7%を得続けた場合、10年で資産は2倍になります。
20年で4倍、30年で8倍になります。40年なら16倍です。
アラサーのあなたが株式に現在投入する1000万円は60歳の時の8000万円に等しい。
セミリタイアしてから60歳頃になって資金のショートから一生懸命働いて1000万円を得ても、そんなものは30歳の時に投資した120万円と同等の価値しかありません。
それほど若い人間がもつ投資資金というのは高い価値を持つということです。
指数関数的、ではなく実際指数関数としてのリターン性質を持っています。
もちろん手数料と税金を支払い後はこれよりリターンは落ちますが。


以上2点から、算術計算上は、セミリタイアは絶対的に損をする生き方だと考えています。
必要資金をためて、以降働く必要がない『完全リタイア』が金銭的に効率化された生き方です。
ただしこれは算術計算上の話です。
人間の心理や体力を考慮していないので、それをあわせて考えると人によっては違う結論を出す人もいます。
  1. 株式投資に関する疑問
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2017年5月ポートフォリオ

可能な月はポートフォリオを整理してブログに載せます。
投資歴は2013年1月にはじめたので4年と4か月です。

総資産額 25,071,954円
キャッシュ 2,638,489円
リスク資産評価額 22,433,465円

リスク資産元本 18,450,140円
損益通算(2013年1月~) +3,983,325円(リスク資産元本に対して+21.6%)
ただしこの通算損益は証券口座の入金額と現在評価額から割り出しており
各種支払い済み税金、支払済手数料、キャッシュバックキャンペーンなど全て盛り込んだ通算損益です

2017年5月のポートフォリオは前月比で
総資産額で230万円の増加
損益通算で120万円の増加
という非常に資産が増えた月になりました。
為替、各国株価の上昇、新たな入金というすべての要素が資産増加の要因です。
総資産額、損益通算共に過去最高額になりました。

しかし、4月中にインデックスファンドから米国個別株およびETFへの資産のリレーを行っており
170万円程度の利益を確定させ、34万円程度の税金を吐き出してしまっており、実際の運用成績はさらに高いものです。
まさに自分にとっては今年の「市場に稲妻が落ちた日」はこの1か月のどこかだったようです。

また、この1か月で、止まらない株価の上昇と米国株式比率の資産内増加に違和感をおぼえて
米国債券、ゴールドETF、新興国ETFといった資産に資金移動を行った期間でもありました。
現在、米国債券+ゴールド+キャッシュに資産の30%を配置しており満足のいくリスク低減と分散投資を実施できています。
今後は自分のリスク許容度をよく考えて恐怖を感じない程度に資産運用をやっていきたいと思います。

損益管理表
  現在 原価 利益
マネックス日本口座 インデックスファンド 0 0 0
マネックス日本口座 現金 円 746,810 -1000000 1,746,810
マネックス外国株式 預り金 円 0 0 0
マネックス米国株式 預り金 米ドル 23,050 19100000 -19,076,950
マネックス米国株式資産評価額(銘柄) 19,826,118 0 19,826,118
持株会 2,607,347 1120000 1,487,347
みずほ銀行(円) 1,439,568 1439568 0
みずほ銀行(ドル) 89,566 89566 0
BBVA(ペソ) 339,495 339495 0
 
 
 
total 25,071,954 21,088,629 3,983,325





ポートフォリオ
銘柄 評価額 米国株 先進国株 新興国株 米国債券 ゴールド キャッシュ
マネックス日本口座現金(円) 746,810 746,810
マネックス外国株取引・出金可能額(円) 0 0
マネックス米国株式資産評価額(キャッシュ)(ドル) 23,050 23,050
BND 2437566 2,437,566  
IAU 2,370,290 2,370,290  
GILD 1,055,670 1,055,670  
INFY 1,022,050 1,022,050.0  
IRMD 1,081,423 1,081,423  
KORS 1,084,680 1,084,680  
RGR 1,188,552 1,188,552  
TARO 1,002,332 1,002,332  
USNA 1,210,751 1,210,751  
VWO 7,372,804 7,372,804  
持株会 2,607,347 2,607,346.9  
みずほ銀行(円) 1,439,568 1,439,568
みずほ銀行(ドル) 89,566 89,566
BBVA(ペソ) 339,495 339,495
   
   
合計 25,071,954 7,645,458 2,607,347 7,372,804 2437566 2,370,290 2,638,489
パーセンテージ 100% 30% 10% 29% 10% 9% 11%
株式内% 43% 15% 42%  
               









5月
  1. ポートフォリオ
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『魔法の公式』戦略がキャピタルゲイン税と売買手数料のためにS&P500を超過する必要があるリターン量を検討する

『魔法の公式』戦略は、市場平均(ここではS&P500を仮想敵にします)を長期的に上回らなくてはなりません。
そうでなかったら、最初からインデックスファンドを購入してバイアンドホールドをしたほうが良かった、ということになってしまいます。
具体的には、グリーンブラットも、2~3年間連続で、市場平均を下回るようなことは容易に起こり得るので5年程度戦略を続けて、有用性を検証してほしい、と言っていることからも、5年程度はリターンを検証するのがフェアでしょう。
するとこのバリュエーション戦略の是非が判明するのは2022年の春ごろになります。
なんとも気の遠くなる話ですが、がんばって測定を続けていきたいところ。
万に一つ5年間もの間、飽きずにブログを続けていたら、みなさんにも結果をお見せできるかもしれません。
実際投資は4年以上、飽きないで続けているので、今後5年間も続ける可能性のほうが高いですが、ブログのほうはなんとも…


ところで、このグリーンブラット式の『魔法の公式』戦略、またの名を『低PER高ROAを1年間ホールド戦略』、簡単にいうと、ダウの犬戦略はダウ30種の中の高配当10銘柄を、1年間ホールドして、毎年入替検討をするものですが、それに酷似しています。
上場3000企業程度の中から、低PER高ROAの銘柄を20もしくは30銘柄スクリーニングして、それを1年間ホールド、毎年入替検討をするという、それだけの戦略です。
どうしてこれが高リターンに結び付くのかというと、これはまあ色々考え方があるので本を読んでいただけたらと思います。

株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」
https://www.amazon.co.jp/dp/B00R8RY4QE/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

ちなみにキンドルなら1296円、しかしキンドルアンリミテッドに入っていればタダで読めます!
ぼくはアンリミテッドで読んで、気に入って紙の本を買いましたが、絶版で中古は2000円~3000円しました。
しかし今みると中古はどれも8000円以上と、変な値段がついており、キンドルで買ってPDFにして打ち出すなりしたほうがよさそうです…

さて、この『魔法の公式』戦略ですが、グリーンブラット本人は、3000社以上の全米市場で実行すれば、市場平均プラス20%のリターンが出る、と異常な検証結果を書いており(本当に市場平均プラス20%のリターンが出たらバフェットの成績超えちゃうのですが)大型株だけに絞ってスクリーニングしても市場平均プラス10%のリターンが出ると言っています。
これだけだと変なおっさんの妄言か?で終わる話なのですが、実はこのグリーンブラット氏自体、20年間、年平均40%リターンを出した現役の中では伝説的なバリュー投資家の一人で、いろいろなバリュー投資の本を読んでいても、他の著者から彼の名前はちょくちょく出てくる人なのです。
このグリーンブラット氏が自分で実際に投資をする際に主軸にしている戦略がこの『魔法の公式』戦略なのです。

東大卒医師が教える科学的「株」投資術という本の中で、作者のKAPPAさんも触れており(この本は題名がキワモノ感ありますが、非常に定量的、客観的で良い本です)、各国の上場市場を低PER高ROAで上位10%をスクリーニングしたところ、米国で4.1%、英国で6.2%、英国以外のヨーロッパで7.7%、日本で7.2%、市場平均をアウトパフォームしたという非常に優秀な数字が示されています。
なぜグリーンブラット氏のデータでは10~20%もアウトパフォームしたかというと、彼の本では3000社中の30社、つまり指標の上位1%という非常に上位に限って投資していたからだと思われます。

さて、この戦略は非常に優秀だと思いますが、われわれは死と税収からはけして逃れられない現世に生きていますので、キャピタルゲイン税の毀損および株式売買手数料を無視したリターンは絵に描いた餅でしょう。
未来のリターンは予測しかできませんが、この戦略をとることで、S&P500のバイアンドホールド戦略に対してどのくらい余分に手数料および税金を払っているかわからないと、有効かどうかも判断できません。


手数料に着目することも必要だ。
資産を乗り換える時には、売買手数料を考慮しても尚乗り換える価値があるのかを計算する必要がある。
       ---レイ・ダリオ


と、尊敬すべきレイ・ダリオ氏も個人投資家へのアドバイスとして言及しているわけです。

そこでこのような検証モデルを作ります。
①ある一人の投資家がS&P500を2017年春から毎月1万円ずつ、30年間ホールドし続ける(30歳から老後の60歳まで)
②S&P500の今後30年の幾何平均リターンは過去50年を参照に年間で、配当3%、インフレ3%、キャピタルゲイン3.5%で、トータルリターン名目9.5%とし、そのうちキャピタルゲインリターンは名目で年間6.5%とする。
③バイアンドホールド戦略なので、売買手数料はタダ同然なので略して0円、年間信託報酬もタダ同然なので略して0円。
この条件で30年間、配当再投資をしないで積立て続け、最後にキャピタルゲイン税20%を30年後に一括で払ったモデルで考えます。
このモデルの投資家は非常に優秀です。
長期投資家の鏡でしょう。
実際ここまで税金支払いを遅らせてストイックに積み立てる投資家はそういないでしょうから、S&P500側のバイアンドホールド戦略がベストを尽くした場合のモデルケースです。

このサイトは積立複利計算に非常にすぐれたサイトです。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1254841870

年利率6.5%(名目キャピタルリターンのみ)
積立30年
毎月積立額1万円
積立前元本0円
年複利
課税方式非課税

この条件で計算します。
すると30年後には
投資元本 360万円
利息 713万円
トータル 1073万円
と出ます。
おそるべき複利の力ですね。
さて、30年後に一括で老後資金として引き出すことを仮定して、713万円のうち20%はお国に上納しなければならないので
実際は360+713*0.8=元本360+利息570=930万円で、トータル930万円です。

さて、ここで、毎年銘柄を入れ替えた場合の戦略について計算しなければなりません。
簡易化のために、配当はS&P500と『魔法の公式』戦略で同じ数値とします。
(じっさい毎年キャピタルゲイン税を払った場合、おおよそどのくらい、多めにリターンが必要かあたりをつける目的の計算なので、ここは簡易化してしまいましょう)
毎月1万円積立を30年間継続し、しかも毎年名目キャピタルゲインに対して20%の支払いをした場合、いくらのリターンをあげれば、トータル930万円に届くのでしょうか。

年利率7.2%(名目キャピタルリターンのみ)
積立30年
毎月積立額1万円
積立前元本0円
年複利
課税方式 複利毎課税20%

この計算で、トータルリターンが938万円となり、930万円を上回りました。
そのリターン差、0.7%です。

なぜインカムゲインについて検証しないのかというと、インカムゲインではS&P500と魔法の公式戦略で、同じように税金を払って、仮に同じ配当利回りだとすると収益差が生まれないためです。

しかし余分に払うお金はこれだけではありません。
小さい資金(具体的にはマネックス証券で1銘柄4444ドル、最低必要銘柄数20なので、88880ドル、つまり約1000万円以下)の場合、マネックス証券では年間1度の売却に0.45%、購入に0.45%、合計0.9%の売買手数料が必要です。
ただしこれは、1年に1回かならず全銘柄入れ替える場合であり、たとえば一つの銘柄のホールド長さを2年平均にすると、ここでの必要超過リターンは0.45%でいいことになります。


まとめ
・魔法の公式戦略で必要な市場平均(S&P500)に対する超過リターンは以下のようになる
・S&P500が今後30年で幾何平均名目リターン6.5%+配当3%(トータル幾何平均名目リターン9.5%)で、毎月一定額を30年間バイアンドホールドした場合で仮定する
・魔法の戦略に要求される最低リターンは幾何平均名目リターンで売買手数料0.9%+キャピタルゲイン7.2%+配当3%となり、合計トータル幾何平均名目リターン11.1%、つまりS&P500をトータルで年1.6%超過リターンすることが要求される。
・しかしこの1.6%は、キャピタルゲイン税支払い繰延不可分0.7%+年間売買手数料0.9%であり、とくに年間売買手数料は1銘柄1年保持の場合の必要手数料なので、1銘柄平均2年持てば0.45%となり、容易に圧縮可能と言える。
・この売買手数料はマネックス証券で20銘柄への分散投資で最低22220ドルの資金を必要とし、88880ドルを超える規模で投資をする場合は売買手数料はこれより低くなっていく。



実際はすべての銘柄を1年1回売買するとは思えないので(なぜなら低PER高ROAで銘柄が放置されれば次の年も持ち越しだからです)仮に1銘柄の平均保有年数を2年程度と仮定すると、キャピタル税分必要超過リターン0.7、売買手数料分0.45で、合計1.15%程度の超過リターンが要求されるかもしれません。
  1. 『魔法の公式』戦略研究
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CNBCニュースから、ジェレミー・シーゲル教授が考える現在の市場の適正PER

超有用投資情報サイトのファイナンシャルポインターさんの記事によると、米国投資ブロガー界隈のカリスマ、ジェレミーシーゲル教授が現在の相場観を語っています。

フィナンシャル・ポインター 様
ジェレミー・シーゲル:年内の法人減税はMust
http://www.financialpointer.com/jp/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB%EF%BC%9A%E5%B9%B4%E5%86%85%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BA%BA%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AFmust/

動画のシーゲルおじいちゃんの英語をがんばって聞き取ろうとしますがいまいち難しいですね。
それは別におじいちゃんの英語がフガフガ言ってるからというわけではなく、アメリカ人の英語、かつ専門外の英語となると靴磨きおじさんの能力だとどうしても・・・(といっても何言ってるかまったくわからないハリウッド映画よりはだいぶ聞き取り可能ですが…)
非英語圏・準英語圏の専門分野の技術英語だと使う単語が同じだからおおかた言ってることわかるんですが(インドとかシンガポールとかですね)、アメリカの英語自由にききとってシーゲルやレイダリオのインタビュー聞き取れればいいのにな~と思ってしまいますね。

さて、はなしを戻してシーゲル教授ですが、S&P500のPERは18~19が適正と言っています。
それは長期金利2~3%の現状での話です。

たしかに今のVOOのPERは19.5程度です。
https://finance.yahoo.com/quote/VOO/holdings?p=VOO

これは先日のバフェットの、現在金利なら米国株は割高ではないというインタビューと内容が一致しています。
先日も書きましたが、再度おさらいします。
ここで、現在PER19。5、米国の長期金利(10年国債利回り)2.3とします。
さて、PER19.5の株式に要求される益回りは19.5の逆数すなわち年間5.1%です。
益回りは長期国債のリターンに株式のリスクプレミアム(元本を保証しない分だけ余計に要求される年間リターン)が上乗せされた数字になります。

5.1%(現在市場が株式に要求しているリターン)=2.3(長期債券の利回り)+2.8(株式のリターンが安定しない分、市場が要求している追加リターン)

最近、シーゲル教授やバフェット氏が口をそろえて、「高くない」「適正値だ」と言っているのは、このリスクプレミアム2.8%を指して、そういっているわけです。

つまり歴史的な平均水準のPERは15程度ですが、かりに市場がPER15程度を要求して株価を調整する心理があるとすると益回りは15の逆数の6.7%です(この数字はみんな知っているようにインフレ差し引き後の米国の株式の長期リターン平均とほぼ一緒になります)
そこで現在長期金利2.3から6.7=2.3+4.3となることから、リスクプレミアムは4.3%程度になるのが、PER15を適正としたときのリスクプレミアムの想定値なわけです。
ところが、バフェットやシーゲルは、いやいや違うよ、長期金利がとても低いので、リスクプレミアムは2.8%程度と想定したら、今のPER18~19が適正値で、これは割高ではないよ、というのが主張なわけです。

仮に現在PERが適正値で、市場の心理が求めるリスクプレミアムが彼らの言うとおりの水準だったら今後なにがおこるでしょうか。
ガンドラック氏が言うように、5年かけて米国がゆっくり利上げをして長期金利を6%程度まで調整するとします。
http://www.financialpointer.com/jp/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%EF%BC%9A%E7%B1%B3%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AF%E5%B0%91%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%82%82%E8%AA%BF%E6%95%B4%E3%81%8C%E5%85%A5%E3%82%8B/
その場合は、5年後には長期金利6%+リスクプレミアム2.8%=株式益回り8.8%が、5年後に要求されることになります。
益回り8.8はPERでいうと11.3ですが、この調整は金利の上昇に合わせてゆっくり行われることになります。

そうではなくシーゲルやバフェットの想定するリスクプレミアム2.8%が低すぎて、市場はもっともっとリターンを要求していた場合は、もっとはやい時期に大きな調整が行われることになります。
注意したほうがいいのは、この二人も所詮はポジショントークをするということです。
バフェットはほぼすべての資産を米国株に投資しているのに、高すぎる、暴落すべきだとは言うはずがありません。
シーゲル教授も著書を見ての通り、米国株に対して永遠の強気派との称号をもち、常に株式全力投資だ!以外の意見は基本的に言わないおじいちゃんなので、それも込みで意見は聞くべきでしょう。
彼らがあなたの資産を保証してくれるわけではないですから。
  1. 株式投資に関する疑問
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IBMを売っちゃったバフェット爺の言葉で胸に染みるのは投資の名言よりも、仕事や愛についてのこと

バフェット爺がIBMを1/3売却したとかで話題騒然ですね。
バフェットフォロワーはマネしてIBMを売ってしまうのか?このままホールドするのか、悩ましいことかと思います。
しかし爺は、株式売買に関してこんなことを言っています。
市場動向や他人の意見につられて株の売買をしない。
また、以前よんだインタビューで、爺はこんなことも言っていたと記憶しています。
「みんなが何の銘柄を買いますか?と聞いてくる。どうやって株式を選んだかを聞かずに、何を買うか、ばかりだ。
なぜ『賢明な投資家』を読んで自分で選ばないんだ?私の買った銘柄を知るより、私の銘柄の選び方を学ぶほうがずっと簡単なのに・・・」
真のバフェットフォロワーなら、バフェットから学んだのは、他人の買った銘柄を買うことではなく、銘柄の買い方でしょう。
また、事業が優れているなら他人の動向など無視して永久に保有していればいいのです。
たとえあなたのグル自身がIBMを売ろうが、もし優れた事業を持った会社なら、そんなことは売買とは何の関係もありません。
もしあなたの買った理由が「バフェット様も持っているから~」だったら、次からはそんな銘柄選定はしないと自分に言い聞かせましょう。
もしくは最初からBRKを買って保有すればいい話ですね。


さて、バフェット爺の言葉ですが、ぼくはむしろ投資関係よりも、彼が仕事や愛について語った言葉が大好きです。


給料が一番多くても、 打率が2割だったらふさぎ込んでしまいます。
逆に給料が一番少なくても4割打てれば、 それこそ大喜びするでしょう。
大事なのは、自分が好きな事を とびきり上手にやることです。


この言葉を見るといつもつらい気持ちになります。
その通りだと思うからです。
自分の一番好きなこと、たとえ給料が下がってしまってもいいから、それはなんだろう、今からなる手段はないかな、と考えてしまいます。
アーリーリタイアなど考えるのは、正直みんな、大好きなことを仕事にしてないからだと思います。

次は愛についての言葉です。

100万ドルで愛が買えるなら安いものだ。しかし、現実には誰かに愛されたいと思ったら、あなた自身が愛される人物になるしかない。見返りを求めてしまうのは人間の性だが、あなたが何かを与えなければおそらく、あなたには何も与えられないだろう。
私の知り合いの中で望みの愛を手に入れた人は、誰もが自分を成功者だと思っている。誰にも愛されずに満足感を得られる成功者など、私は想像することができない。


これも良い言葉です。
世界で1番、2番のお金持ちがいうと説得力が違います。
これもまた、離婚して強く感じていることです。
1億円わたそうが、愛は売っていないのです。愛に値札はつきません。(つくのならそれは紛い物ですね。)
そして、愛のない人生など、成功でもなんでもないのです。


やはり経験豊富なおじいちゃんなだけあり、とてもためになる人生の教訓を教えてくれますね!
ちなみに若いころの言葉で、暴落した市場についてインタビューを受けて
「セックスしたくてハーレムにきた気分だぜ!」
という屈指の名言も残しているので、爺ちゃんも若いころがあったんだなあ~と生暖かい目になりました。
  1. 投資雑談
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ジョン・ミハルジェビックの『バリュー投資アイディアマニュアル』の中での「魔法の公式戦略」に関する考察の重要ポイントメモ

僕の愛好するジョエル・グリーンブラット「魔法の公式戦略」について『バリュー投資アイディアマニュアル』の中で触れられており、いくつか重要な気付きがあったのでメモしておきます。
ちなみに内容が難しく、理解度は50%程度でした。

・ウォルマートの利益率が仮に3%だとしても、同社が250億ドルの営業利益を出すのに使った運転資本が1500億ドル以下ならば、株主は満足する結果を得る。
・資本利益率が高い会社はマーケットの評価が割高になっている(プレミアムがついている)はずなので、資本利益率の高い会社を低いPERで絞り込むスクリーニングは理にかなっている。
・この戦略が有効性を保っているのは、3年間ほどパフォーマンスが低迷する時期があり、それほどの長期間、機関投資家は低迷した戦略を維持することができないためである。(有用性を知っていてもできない)


・もう一つのこの戦略が高パフォーマンスを維持する理由は、感情バイアスを払しょくすることが困難だから。
このスクリーニング方法で選出された会社は、不人気企業どころか、大きな問題を抱えた会社のオンパレードになる。
当局監視下にある、会計上問題がある、経営陣が交代した、特許切れを控えた製薬会社、巨額の訴訟を抱えている、不況なのにヘッドハンティング会社が候補にあがる、レーシックの問題がマスコミに騒がれた時にレーシック手術会社が候補にあがる、など。
しかしこれらの会社が高収益なのに低PERで放置されて大きなリターンを生み出すことこそがこの戦略のトリックである。

※靴磨きおじさん注釈
じっさいこの戦略でスクリーニングすると、セクターではたとえばバイオを中心とした製薬(特許切れ問題)、小売店群(アマゾン問題)、それにアパレルメーカーといった一部のセクターの銘柄がとくに大量に選出されます。
たとえ利益を出していても、これらのセクターに今はだれも投資したがらない、その市場のネガティブ材料への必要以上の下げと、実際価値の差分を逆手にとったのが魔法の公式戦略だと思われます。
他にも靴磨きおじさんの保有銘柄だと、ピストルの製造メーカー、マルチ商法の健康食品会社など、たとえ高収益でもみんなが投資したがらない割安会社に投資することになってしまっています。
ちなみにこれと全く同じことが起こったのがかつてのタバコ会社や石油会社です。
これらの会社はかつて訴訟リスクや世論によるバッシングにより長期にわたりPERが10未満で放置され続けましたが、つねに高ROAの企業体質だったため、シーゲルの書籍でも長期にわたり非常に大きなリターンを株主に還元した結果が確認できます。


・グレアムのスクリーニング戦略の数値が現在市場に合わなくなってきており、選定が難しいのに対して、魔法の公式戦略は相対的評価法(順位付け)なので時代に関係なく選定可能な点はすぐれている。
・3年程度戦略が低迷してもやめないことがこの戦略を扱うコツである(グリーンブラット本人は5年程度継続することを推奨)


・魔法の公式の上位数社を使って買いのみのポートフォリオを組むと非常に高いボラティリティに苦しむことになる。
これらの選定銘柄は一般的な銘柄に比べて価値が0になったり、数倍になるような特殊な銘柄の集合体である。
よって5社や10社に絞り込まず、グリーンブラットの推奨通りに20~30銘柄に分散してボラティリティを下げなくてはならない。


・選んだ銘柄からあきらかに保有したくないほどのリスクを抱えた銘柄を取り除くと、大きなリターンもまた逃す特性がある。
・金融機関の銘柄はこの選定基準ではスクリーニングできない。
・グリーンブラットの作成した専用銘柄選定サイトは、条件に見合う銘柄のあたりを付ける程度の目的に使用し、別途低PER高ROAで絞り込むなど、自力での選定法も確保しておくこと。
・外国株でも同じようにこの戦略は機能する
・平均ROAを参考にすることで直前期のみ成績が良い会社は除外できる
・小型株は機関投資家によるPERの最適化がなされない状況が多々あり、平均するとこの戦略で大型株よりリターンが良くなる。


東大卒医師が教える科学的「株」投資術からも魔法の公式戦略に関する記述あり
・3500社中上位30社に関するパフォーマンス分析を17年間おこなったところ。12か月間中5か月は市場に負ける。年間で測定すると4年中1年は負ける。また日本株で検討した結果3.2年中1年は負ける。3年間継続した場合、5%の確率で市場平均に負ける。
・米国以外で、日本、英国、ユーロ圏での有効性を実証した。
・EV/EBIT+ROIC(グリーンブラットのオリジナル戦略)とPER+ROA戦略は成績がほぼ一緒である。


・米国市場時価総額上位50%について、PER順に5グループにわけた。
PERとリターンは逆相関した。
1年ごとに銘柄を新たなPER順で入れ替えて9年間測定したもの、3年ごとに銘柄を新たなPER順で入れ替えて9年間測定したもの、同様に5年ごと、9年ごと、と測定した結果、9年ではやや低PER群の成績は落ちたが、3年保有、5年保有では低PER群の成績は落ちずに優位をキープした。
この結果、5年間程度銘柄入れ替えを行わなくてもリターンを維持できることがわかる。

  1. 『魔法の公式』戦略研究
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